製麺所の名の通り、手打ちうどんのおいしさが際立つ「大谷製麺所」。閉店の夕方四時半までしっかりとしたコシを保つ麺は、細やかな行程を経た職人ならではの技。ベストな状態の麺を提供するために、麺を切る太さや湯がく時間を微調節して、開店直後やお昼どきの混雑時、二時以降の比較的ゆったりした時間など全てタイミングを合わせているのだとか。

口に運んだうどんは、コシがあるけど柔らかくもっちり。火の通りをよくするため、やや平たい形になっています。「細いのや太いのがあって本当の手打ち」と店主の大谷さんが言うとおり、微妙に太さが違う麺はそれぞれの食感も楽しめます。「甘いのが苦手」という店主の出し汁は、砂糖を使用していない素材の旨味だけで作られたもの。麺のおいしさをさらに引き立てる上品な仕上がりです。

「高いけど、一度このネギを使うと他のネギにはできない」と、脇役になりがちなネギも、口あたりが良く香りの良い細ネギを農家さんから仕入れています。ネギをキレイに切るためだけに、専用のまな板を職人に発注するこだわりよう。手間隙惜しまぬ丁寧な仕事ぶりを実感できる、極上の一杯が味わえます。
（取材：にょろにょろ）